※本ブログにおいて、英語=米語です。
前回からの続きです。スピーチ自体に説得性をもたせ、オーディエンスの行動や意見になんらかの影響を与えることを目的とする persuasive speech に適した構成スタイル、モンローズシークエンス(Moroe's Motivated Sequence)の第2弾です(第1弾目は以下↓)
モンローズシークエンスを使ったサンプルスピーチはこちら。
《REVIEW》
モンローズシークエンスの基本構成:
- Aouse attention
- Demonstrate the need or want
- Satisfy the need or want ←今ここ
- Visualize the results or outcomes
- Call for action
3. Satisfy the need or want:方法論の提示です。上述した、2. Demonstrate the need/want を通じて、問題解決への必要性に強く共感しているもしくは行動欲求が高まっているオーディエンスの「とにかく解決策・方法を知りたい!」という気持ちに応えます。そのためのステップとして・・・
STEP 1 具体的な解決策・方法を紹介:ここでも「端的」がキーです。ソリューションもしくはプランが何であるかを1文で言い切ります。
- The only way we will do this/make a difference/make a change/solve this etc. is 〜.
- We can accomplish/achieve/put ourselves in that position etc.by 〜.
- I know we can change this by 〜.
- What we want/need to do is to 〜. などなど
STEP 2 解決策・方法の詳細を説明:あなたが推奨するソリューションやプランのスタート地点からゴール地点までを3〜5ステップに別けて説明します。この時に日本語スピーカーが気をつけたいのが、必要以上に言葉を足さないことです。例えば・・・
Case 1 食生活改善への第一歩としてまず、日々の食生活を査定する必要がある時:
- The first thing we need to do is to evaluate what we eat everyday. ← Ineffective(非効果的):メインの行動(動詞)までが遠すぎる。
- First, we evaluate. ← Effective(効果的):行動(動詞)がいち早く分かる。
Case 2 テレビのない生活への最初のステップとして、まず1日テレビを止めてみもらう時:
- As the first step towrad a life without TV, we can begin with a day without turning on TV. ← Ineffective(非効果的):メインの行動(動詞)が分かりづらい。
- As the first step, we spend a day without TV. ← Effective(効果的):目的の行動(動詞)が分かり易い。
*もちろん、この後に、「Why(理由)」や「How(方法・プロセス)」などの詳細説明を加えますが、その前に「何をする」をズバッと言い切ってしまうとオーディエンスにとって非常に分かり易い。
STEP 3 「結果」への道筋を示す:STEP 2で紹介した1つ1つの行程がちゃんとゴールに繋がっていることを示します。STEP 2とSTEP 3は、話が長くなったり、説明が理解の範疇を越えたりしてオーディエンスが志半ばでゴールを見失わないようにするよう心がけます。
最初に全行程数を伝えておりたり、ロードマップを使い、1行程ごとに少しづつゴール(結果)に近づいている感覚を共有すると効果的です。
STEP 4 現実性と信頼性を高める:実例や実績に勝る証拠はありません。あなたが提示する方法が過去に如何に問題解決に効果的だったか、またチャンスや機会を活かすことに繋がったかを紹介します。
4. Visualize the results or outcomes:結果・アウトカムの可視化です。3. Satisfy the need or want で提示した方法に則って行動した上で起こる結果を説明します。具体的で分かり易く、将来図がイメージしやすい語彙を選びます。特に、オーディエンスにとってどのような利点・ベネフィットがあるのか手に取るように分かるようにする事が重要です。
ポイント!:ざっくり表現や雰囲気でなんとなくコミュニケーションをとることに慣れてしまっている日本人にとって物事をピンポイントで表現するのはかなり難しいようです。特に、
- 語彙力の欠如
- 的確表現への不慣れ
は大きな課題です。改善策として、視力にハンディキャップを抱えるオーディエンスに向かってスピーチをしていると想像しながらコンテンツを考えてみてください。
結果の可視化テクニック
① ポシティブメソッド:明るい未来に焦点を当てます。提示された方法に則って今行動することで訪れる希望や可能性、光に満ちた将来図を描いて見せます。ここでも具体性と可視性の高い言葉選びがとても大事になってきます。
② ネガティブメソッド:暗い未来に焦点を当てます。提示された方法を今行動に移さないことで訪れる状況や状態がより悪化した、もしくは現状が好転・改善なく引き続いてしまう将来図を描いて見せます。特に、2. Demonstrate the need or want で紹介した事例の中でオーディエンスが最も望まないものであろう状況が続いてしまう(悪化してしまう)可能性について言及します。
③ コントラストメソッド:文字通り、ポジティブメソッドとネガティブメソッドを混ぜたものです。まず、ネガティブメソッドにおける暗い未来を可視化し、後からポシティブメソッドによる明るい未来を示します。
モンローズシークエンスも次回は、オーディエンスに行動してもらうための最後の訴えです。説得型のスピーチであろうと情報シェアを目的とするスピーチであろうと、オーディエンスの耳に最後に届けるメッセージはスピーチ自体のインパクトを決める上でとても重要です。
参考:North, Marjorie L. "Fundamental of Public Speaking." Harvard Extension School, Cambridge. Aug. 2011 - Dec. 2011. Class